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第14章 今があるのは
互いの心の隙間を埋めるように、寂しくなったら抱き合う『恋人』という括りを敢えて避けるように俺達の関係は続いた。
卒業したら就職を控えていて、今の住処を離れる予定もあったり、卒論に追われていたり、3月までバイトの予定も入れていた。
そんな中途半端な季節の中で無責任な事を和香奈に言えるわけでもなく…
そういう事で前の恋愛で傷ついていたのだから尚更の事。
それでも和香奈は、「韓国のお土産買ってきたから」とキムチや韓国海苔、男性用の洗顔ホームや化粧水などを持って訪ねてきたりした。
「歩は自炊派なんだよね。疲れた時にご飯だけ炊けば食べれるから」
「4月から社会人なら身だしなみ大事。肌は男も女も若い時からケアが大事よ」
など気を遣ってくれたりで……
いつの間にか鍵を渡すようになると、俺が帰ってきてから食べれるようにとご飯の用意をしてくれたり、綺麗に掃除までしてくれて、通い妻的な存在になっていた。
ヤバイと思いながらもその行為に甘えて、断る事もなくダラダラとこの居心地の良い生活を続けていた。