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第15章 タイミング
「葵(あおい)?」
「そうそう!!偶然だね。こんな所で会うなんて。
さっきから様子伺っていたの。人違いだったら恥ずかしいし…。
だから、確信するまで話し掛けられなかったよ」
「そっか。本当に偶然だな」
「元気だった?」
「ああ。葵は?」
「元気よ。あっ、私、この近くの保育園で働いてるの。
よくこの公園で園児を遊ばせるんだよ。今日は早番で今帰りなの。歩ちゃんも職場が近いの?」
「いや…付き合ってる彼女がこの近くに住んでいて待ってるんだよ」
「歩ちゃん、彼女さん居るんだ」
「まあね」
「会ってみたいな」
「あぁ、もうすぐ来るはず」
「えっ、楽しみ〜!!ねえ、歩ちゃん、嫌じゃなければ連絡先交換出来ない?折角会えたんだし…」
「別に構わないよ」
互いの携帯を出し、LINEの交換しているところに和香奈が現れた。
こっちの様子を伺いながら、少しムッとしたような感じだ。
『こんな短時間でナンパなんてしないし、いらん誤解してんだな。
まだまだ信頼関係が甘いのな』なんて思っていたら、こっちに来て、「歩、お待たせ」と怒りを抑えた声で一言言った。
「ああ」
「あっ!歩ちゃんの彼女さん?」
「うん」
「はじめまして。私、歩ちゃんのイトコの楠瀬葵(くすのせ あおい)です。
今、公園で偶然に会いまして……」
「あっ、はじめまして。岸谷(きしたに)和香奈です」
やっちまった的な和香奈の顔が面白かった。
それにしても偶然ってあるんだな……