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第2章 夏帆

 パパとママはもう一度幸せになりたかったんだ。
君が生まれる前、二人とも別々の家庭があって壊れてしまったからね。

 だけどもう一度幸せを求めた。

 初めてママと会った時、最初は余りママにいい印象がなかった。
待ち合わせの場所でパパと目が合いながらも通り過ぎていったんだぞ。
 
 『ちょ、ちょっと待て!あなたは……』
ママに声を掛けようとしても、反対方向に歩いて行っちゃってさ……

 まぁ、お互い結婚相談所のデータしか見てなかったからね。
100歩譲って最初は待ち合わせが上手くいかないのは仕方ないとしてもさ……

 その時のママの言い訳は、『声を掛けて違っていたら恥ずかしかったし、余りにも聡君がスリムだったから、隣歩いたら私デブに見えちゃうから躊躇した』なんて言いやがる。

 勿論、その時のパパは『嫌なら断れ、その場で!』と心中は穏やかじゃなかったんだよね。

 だけどママが照れ臭そうにまた戻って来て、「皆川聡さんですか?」って聞くんだ。

 真っ赤な顔してさ。

 「はい」って答えたら、「泉谷夏帆です」って俺の目を見て言ったんだよ。

 「あっ、どうも」って挨拶して先程のママの無礼を許しちゃったんだよ。


 笑えるだろ?
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