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第2章 夏帆

元妻に浮気をされたのはショックだったけど、そんなに傷つかなかったのも事実なんだ。
積み重ねたいろんな思いがそうさせたのかもしれない。
歩が成長するに従い、自分のやりたい事を主張するようになった元妻。
俺と同い年で歩を身籠るまでは、音楽教室のピアノの講師として働いていた。
耳にするメロディーを楽譜がなくても弾いてしまう絶対音感っていう才能があった。
小さな頃からピアノを習って、数々のコンクールで賞を取ったとかでピアノの腕はかなりのものだった。
音楽を専攻する短大を卒業してからピアノ教室で働きながら、いずれは留学も考えてた。
そんな元妻との出会いは友人の結婚式だった。
あいつは余興で渚のアデリーヌを弾いていて、一際目立った。
綺麗に曲を弾ける人だなって感心した。
第一印象はそんな感じ。
特別な感情があったわけでもなかった。
二次会でたまたま席が近くになって、友人を介して話をしたのがきっかけだったのかもしれない。
意気投合した新郎側の友人と新婦側の友人同士でスキーに行こうなんて話で盛り上がって、俺とあいつもそのスキー旅行に参加した。
ピアノを弾けるお嬢様はスキーは初心者だたようで、あいつが俺に教えて欲しいって頼んできた。
正直、スキーを楽しみたい俺としては厄介なお願いだった。

