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第2章 夏帆

 それでも頼まれると嫌とわ言えずに、初心者コースでボーゲンから始めて、半日ほどマンツーマンで教えた。
元々運動神経は良かったらしく、直ぐに基本の滑りをマスターした。
あいつが一通り滑れるようになった時に言われたんだ。

 「彼女居ないなら私と付き合って下さい」って。

 返事に困ったのは、まさか俺に好意があるなんて思わなかったから。

 「私、スキーなんて興味ないし、ピアノ弾いてるから指とか怪我したくないんですよ、本当は。
だけど、聡君が行くっていうからチャンスかなって思って。
でも……振られちゃうのかな?」

 付き合っている人も居なかったし、女性から告白されるのも悪い気はしない。
寧ろ、ここまで言ってくれる涼子を可愛いと思った。

 「振るなんて勿体無い事しないさ。
俺で良かったら」

 それが始まりだった。

 積極的でハキハキ喋り、勝ち気なお嬢様タイプの涼子。

 夏帆とは違うタイプの女。

 多分ね、夏帆に惹かれたのは安心できて自分を誤魔化さずにいられる女だったからさ。

 俺が求めるものは穏やかで癒やしのある生活。

 心身とも疲れきってしまうような激しい女には懲りてしまったからかもしれないな……
 

 
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