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第4章 時には猛烈に

 恋人になってからの時間は海辺を散歩したり、車で道の駅まで移動しておみやげを見たりお茶したり、ゆっくりゆっくりと帰り道を辿った。
途中渋滞にも巻き込まれたけど、夏帆ちゃんと未来を語りながらの楽しいドライブはイライラもせず、疲れもなく、寧ろこの時間が終わってしまう方が寂しくて……

 もっと一緒にいたい。
そんな気持ちでいっぱいになった。


 「小腹空かない?」

 「うん」

 「何食べる?」

 「聡君は何食べたい?」

 「回転寿司なんてどう?」

 「私、縁側だい〜すき」

 「俺も好き」

 彼女になってからの夏帆ちゃんの好きなものを知る度嬉しくなり、自分も好きなものだとその嬉しさが二倍になった。

 三皿も縁側を食べちゃうところも可愛いと思った。

 回転寿司を出てから、夏帆ちゃんの家に向かって車を走らせた。

 さっきまで元気だった夏帆ちゃんが寂しそうな顔をした。

 「楽しい時間はあっという間ですね」

 「うん」

 「聡君とバイバイの時間が迫っていて、何だかとても寂しくて……」

 「俺もだよ」

 助手席の夏帆ちゃんをチラッと見たら泣いてる。

 「夏帆ちゃん……」

 「ヤダな。見ないでよ」

 「俺もまだまだ一緒に居たいよ」

 「聡君、明日から会社でしょ」

 「うん……」

 「だから仕方ない。
聡君とバイバイした後にひとりぼっちの部屋に帰るのが…寂しいなんて我儘だよね」

 「我儘じゃないよ。
夏帆ちゃんを寂しくさせたくないし、俺ももっと一緒にいたいよ」



 星空、ここからは内緒。
君がもっともっと大人になってから自然と分かること。
恋したら、嬉しくて楽しくて寂しくもさせるもんなんだよ。

 おやすみ 星空

 ギュッと幸せの象徴の星空を抱きしめてあの日に俺は帰る。 
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