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第5章 一気に加速

 ホテルに入ったはいいけど、妙に緊張してしまい、まずは冷蔵庫からビールを取り出し、乾杯して緊張を解した。
あっという間に二缶を空けてしまった。
「寿司食べると喉が乾くね〜」なんて言い訳しながら……
ソファに並んで座り、いつでもキス出来る距離なのに軽薄さを隠したくてなかなか手が出せない。

 「聡君に会社休ませてしまって……本当にごめんなさい」

 「なかなかサボれないから丁度いいかも?
有休余ってるし、連休中に風邪引いたって言い訳で大丈夫だよ」

 「……ごめんなさい」

 「一人の部屋に帰るのって、俺が想像するより寂しいんだろうなって思った。
お互い、離婚経験者でしょ。
たまたま俺は近くに家族がいたから頼れた。
夏帆ちゃんは違うもんな」

 「お兄ちゃんが家を継いで、義姉さんや子供達もいる中に帰れない。
離婚って引け目を感じますよね?」

 「分かるよ。俺も離婚した当時、開き直るまではやっぱり寂しかった。だけどさ、離婚しなければ夏帆ちゃんと出会えなかったでしょ」

 「私もそう思えるようになったら、聡君とバイバイするのが凄く寂しくなったんです」

 
 可愛い……。
分かりづらいあなたでも今の気持ちはちゃんと伝わった。
だから受け止めるよ。

 俺は夏帆を引き寄せ、キスをした。
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