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永遠の愛を奪って
第9章 大切なのは……
「なんでもない……」
家族やお婆ちゃんには彼氏ができたことを教えていないから、この気持ちは話せない。
「ガッカリしたことでもあったの?」
でも私のモヤモヤとした気持ちは知っているように、お婆ちゃんは優しい笑みをして顔を覗いてくる。
その温かい微笑みを見ていると涙がじわりと目に浮かんできた。
「何もないって。……そういえばこの前、お婆ちゃんは白い桔梗を誰かにあげていたでしょ?
若い夫婦みたいな人たち。あの人たちって有名人だったの?」
青木くんとの悩みは話せないから、話題を変えて涙目にならないように回避する。
「あー……、そんなこともあったねぇ。旦那さんが会社の同僚に憎まれて、それがエスカレートして奥さんが被害に遭ったって事件でしょ~。
大変なのにテレビにまで映し出されてねぇ。物騒だからさっさと出ていくように近所の人から追い込まれて可哀想に……」
「その夫婦って仲が良いの?それとも上辺だけ?」
表で見える姿は幸せそうだけど、裏ではどうなのか分からない。
まるで今の青木くんとしている恋愛のように感じた。