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永遠の愛を奪って
第19章 溺愛とさよならの決心
ポーチの中にあるメイク道具をカチャカチャと漁る音と共に聞こえてきた悪意がある話に背筋が凍りつく。
個室から出て反論したい気持ちがあるものの、あまりにもショックで体の力が抜けてしまっていた。
「もうすぐ青木くんが転勤するから絶対に続かないって。来月には別れてるんじゃない?」
「遠距離恋愛って続かないもんね。そういうあんたも飛ばされることになったんでしょー?」
「そうそう。代わりがいないからワタシが行けってさー。しかも、転勤先の周りは田んぼしかなくて田舎だから嫌になっちゃう。
青木くんの転勤先とはここより遠いところだし」
「代わりに白米さんに任せたら?田んぼがあるんだからよくない?」
「それ超いい!お局様に相談してみる。
米なんだから田舎に行って稲刈りでもしてろってね。あはは」
化粧直しが終わったのか、二人の女性社員は嘲笑いながらトイレから出て行った。
それでも嫌な思いをしたせいで私はトイレの個室からすぐに出ることはできなかった。