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ベストパートナー
第3章 ヒトミ
 3


 俺は喫茶店にいる。
 いつもの、あそこだ。
 マスターがイヤらしく笑い、特等席とヤジられながらあのテーブル席に二人で座った。


 二人で……ヒトミと二人で、座った。


 ヒトミの奴、あの騒動の後、腹の虫が鳴いた。
 しどろもどろ言い訳していたが、そんな女が凄く可愛く見えてしまい昼飯に誘った。


「すみません、でもいいお店」


 ヒトミが頰を赤らめて、満面の笑顔を見せた。
 ショートヘアー、小さな頭。そこに遠慮がちな目、鼻、口に丸めのビジュアル。
 体はスラリとしているのだけど、出るところは出て、引っ込む所は引っ込んでいた。
 

 言ってしまえば、あどけなさがある美女である。それがノーメイクだから、ポイントも高い。
 俺が心通わせる彼女らに、並ぶくらいに素晴らしい。
 

 キャッシュバッカーのヒトミが、こんないい女だったなんて!


「キャッシュバッカー、キャッシュバッカーって、私はただ楽しくメールしたいだけです! だって出逢いは求めてますなんて書いてませんよ」


 ヒトミがムキになる。本当にそうだったか? 俺は頭を捻る。


「実際、逢ってますし。こんな形ですけど」


 ヒトミがほっぺたを膨らませ、俺を見る。
 なかなか可愛いな。
 

「はい、お待ちどおさま。日替わりワンプレートランチです」


 マスターがヒトミの前に置いた。なかなかのボリュームがあるように見える。
 そして俺の前には、自慢のオリジナルブレンド珈琲ポットとカップを置く。
 先ずは一口飲むかカップに珈琲を注ごうとすると、明細書が目に入った……ん? 何か書かれているぞ。


 珈琲を注ぎながら、明細書を見る。
 すると裏に……。


 ガンバレ! うらやましいなぁ


 はいはい。
 そうしてきますよ。
 俺は苦笑いしながらヒトミを見ると、彼女は困った顔をしている。
 その顔もいい。


「い、いただきます」


 遠慮がちに頭を下げて、ご飯に箸を付ける。ふっくら炊けたそれは、白く光っていて見るからに美味そうだ。


「……うん、もう少し固めがいいな」


 ヒトミの寸評が入った。
 おいおい……少し毒舌だな。


「あっ、アハハッ」


 ヒトミが笑った。



 




 
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