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乳房星(たらちねぼし)・再々修正版
第5章 涙の条件
そしてまた時は流れて…

1971年11月27日の昼前のことでありました。

場所は、今治市湊町(みなとちょう)にあります海鮮レストランにて…

レストランの玄関の前にシルバーのキャデラックが停車したのと同時に、車の前に数人の黒のスーツの男たちがやって来まして、車のドアを開けました。

そのあと、車の中からものすごくヨボヨボの身体になっている白髪の老人の男が付き人の男に抱き抱えられてレストランの中に入って行きました。

付き人の男たちに抱き抱えられてレストランに入っていった老人の男が、イワマツ家の当主・コリンチャンスイワマツキザエモンセヴァスチャンでありました。

セヴァスチャンじいさんは、数年前から寝たきりになったのと同時に重度の認知症になっていたことから善悪の区別が分からなくなっていたので、きわめて危険な状態におちいっていました。

セヴァスチャンじいさんは、レストランの奥の大広間にいる実母の家の親族たちのところへ向かって行きました。

その様子を別の角度に停車中の黒のニッサンキャラバン(ワゴン車)に乗っている源五郎と番頭はんがみていました。

源五郎は、セヴァスチャンじいさんがいすに座ったあと付き人の男たちが大広間から出て行くところをみてから、同乗していた丁稚どんにこう言いました。
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