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咲の旅物語
第15章 チガヤの呪い
それは、全員思っている事でダイゴすら下唇をキツく噛み拳を握りしめている。
しかし、その憎しみすらぶつける相手はもういない。
「我々が出来ることは、浄化し天に返してあげることだけだ。」
ディラが、悔しそうに呟く。
「くっ…そうだな。いない相手を憎んでも仕方がない。こういう土地を増やさないためにも俺らも頑張らないと。」
「ええ…」
「よし!まずはララベお姉ちゃんの仲間を送ってあげよう?」
ティナが大粒の涙を流しながら立ち上がり笑顔を見せる。
「そうね。」
咲も立ち上がり、周りを見渡した。
「ララベさんの記憶だと、あの辺りに隊長さんがいたはず。」
現在の場所から対角の端。
「ディラ、ララベさんをお願い。」
「わかった。」
ディラがララベとジャルムを結界で覆う。
「なにをされるのです?」
ジャルムは不思議そうにララベを抱き締めながら見ている。
咲は大丈夫だと頷いてみせ、両手を広げた。
『タチバナ。力をかして…』
目を閉じ、そっと神力を解放する。
咲の背中から純白の翼が広がり、白金の光が暖かく広がる。
洞窟中に光が伸びていき、満ちた。
咲の背後に深緑の髪の男性が表れ、そっと手を重ねる。
「神…」
最高潮の解放を初めてみる仲間もあまりの神々しさにめを見張った。
ディラすら、惚けている。