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咲の旅物語
第15章 チガヤの呪い
咲は自分の背後にタチバナの存在を感じた。
軽く首を捻ると、優しい唇に触れる。
“さあ…”
“はい…”
『昇天浄化』
二人の声が重なり、白金の光が目をあけていられないぐらいに輝く。
仲間やララベ達も思わず、目を閉じた。
ジャルムはその中で、ララベの微笑みを見ていた。
『ディラさんがかけてくださった結界も持たないようです。
ジャルム様。
わたくしも彼方に行く時ですわ。』
“ララベ…最後にひとつ聞かせてくれ。俺は、なぜ生きていた?”
『わたくしも…わかりません。
ですが…これだけは言えます。
最後まで貴方をお慕いしておりました。』
フワリと涙を流し、ジャルムを包み込む。
“ああ…ララベ…逝かないでくれ…”
『いいえ…わたくしは我を忘れたとはいえ、罪人です…。
いつか罪を償い…あなたのもとへ帰ってきます………』
そういうと、淡い桜色に輝き消えていった。
ジャルムが目を開けると、そこは先ほどの光は消えて洞窟に戻っていた。
涙が止まらない。
膝まづきひたすら地面を濡らしていた。