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約束 ~禁断の恋人~
第3章  倒錯


 倒錯……。
 狂気……。
 僕には分からない。
 ただ、ここにいるのは、僕の海。
 僕を愛してくれる海。
 それだけでよかった。
 カイが海になるのは、僕を抱いている時だけ。
 また、チクリとした胸への痛み。
「あぁっ……」
 一人で風呂に入っても、跡を見ると海と一緒にいる気持ちになれる。
「もう……。挿れて……」
 その言葉に反応するように彼が体を離し、枕元に置いたままの潤滑剤を掴んだ。
 ジェルが塗り込まれる感触に、一瞬体が跳ねる。解しながら挿いってくる指に、溜息が漏れた。
「はぁっ……。海、早く……。海が、欲しいっ……」
 海を受け入れると考えただけで、体の奥が疼く。
「来てっ……」
 彼へと腕を伸ばした。
 僕の体を包むようにして、彼がゆっくりと挿いってくる。その熱さを味わいながらも、腰をずらして彼を深く導いた。
「あぁっ、海っ、愛して、るっ、海っ、はぁっ」
「トモ、愛してる……」
 教えた通りに囁くだけの言葉だという思いは捨て、彼の腰へ腕を回す。
 彼が緩やかなグラインドを始める。
 海の熱さ。
 海の息遣い。
 海が僕の中にいる。
「んんっ、海っ……、あぁっ、はぁっ、海っ」
 自分に言い聞かせるように、何度も海の名を口にした。
 現実逃避出来るこの時に、僕はもう溺れている。
 僕の様子を伺いながら、浅いグラインドを繰り返す彼を見つめた。
「あっ、はぁっ、はぁっ、あ、んっ……。海、もっ、と……」
 すぐに、彼が深く挿いってくる。
「あっ、あぁっ、んっ、はぁっ」
 その熱さに、背中を反った。
 繰り返される激しいグラインドに、息が詰まる。
「んんっ、あんっ」
 全身が彼からの熱に包まれていく。
「海、海っ、愛して、る……。海っ……」
「トモ、愛してる……」
 彼の息遣いを聞きながら、僕は快感に身を委ねた。



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