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当機は偶然により、運命を変更致しました
第4章 おまけ
* * *
『……当便は目的地天候不良の為……上空で待機致します……』
「……えっ!?」
そのアナウンスが有ったとき、また寝てた。
でも、今度は行きとは違う。
聞き逃しても、ちゃんと聞いといてくれる人がいる。
「あーあ。天気悪くて、渋滞してるってー。
ダイバートの次は、ホールディングかー」
揺れるかもだからって私に飴を渡して来ると、自分も口に放り込んだ。
「え?渋滞?道路じゃないのに?」
「んーん。空中旋回って言うのかな。飛行機が空港上空をぐるぐる回って、時間稼いだり着陸の順番待ったりすること」
そう言われたけど、説明聞いてる場合じゃないよ。
「……私、あんまり遅れたら、帰れない……」
「え?」
終電がなくなる。
空港からは出られても、接続はなくなるかもしれない。
そしたら、家には帰り着けない。
なんなの、今回の旅……。
って思ってたら。
「うちくる?」
飴を口の中で転がしながら、聖護さんが言った。
「……え?」
「どっか探して泊まるより、安いよ?
タクシーの深夜料金でも、四桁前半で着くから」
そう言うと聖護さんは、ブランケットの下で私の手を握って、にこっと笑った。
……けど。
私は、泊まるとかとは全然違うことを、考えてた。
……運の強い人って、本当に、居るもんなんですね……。
(おまけ、おわり。)