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わがままな氷上の貴公子
第4章  潤


「悠ちゃん。俺が、好きなんじゃなかったの……?」
 馬鹿馬鹿しい。何でオレが、長身だけが取り柄のお前を、好きにならなくちゃいけないんだよ!
 オレレベルなら、相手はいくらだって選べる。
「いつ好きだって言った!? ヤったからって、いい気になるなよっ!」
 言い切って、潤から視線を逸らした。
「さっきの子が、好きなの……?」
「ああ……」
「そう、なんだ……」
 潤の弱々しい溜息を聞くなんて、初めてじゃないか?
 オレはその場に立ったまま、潤の足下を見ていた。
「悠ちゃん。俺……」
「じゃあなっ!」
 潤が何を言おうとしたのかは知らない。
 オレには関係ない。
 地下のジムのロッカールームへ駆け込み、その場でしゃがみ込んだ。
 ベンチのヤツらや圭太は不思議そうだったが、今は気にならない。
 暫くそのままでいたが、潤は追いかけて来なかった。


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