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エロ小説を100冊読んでみた
第22章 才川夫妻の恋愛事情 7年じっくり調教されました

それはさておき、サイドチェンジってけっこう難易度の高いテクだと思うんです。というのは、同じ出来事を繰り返すわけですから「話者が変わることによって生み出される、その出来事の全く違う一面」を描けなかったら、本当にただの繰り返しの退屈なものになってしまうから。
で、ここも上手い。
「出来事まったく違う一面」の演出が最重要というサイドチェンジ技法の要諦をきっちり押さえつつ、くどくならないよう、繰り返しにすぎない部分は巧みに流して(主として印象的な会話を作っておき、それだけで繰り返しを済ます)あとは話者の心理と中心とし、読者を退屈させない書き方となっている。巧い!
そんでもって、それまではオフィスで新入社員が目撃したこと→ヒロイン視点でのその真相を明かすというリズムだった所に、三人目のサイドチェンジャーであるヒーローは、ヒロインが体験して来たこれまでの7年間の結婚生活をまとめて語るというリズムの変化で緩急をつけてきます。巧い! 凄い!
まーまーまーでも、このへんのサイドチェンジのテクニックはおそらくケータイ小説の昔から培われて来た伝統技法でもあろうから、特に兎山先生が秀でているというわけでもなくて、他にもこの技法が巧みな書き手さんはいらっしゃるのだろうなと思います。そのへんはこの先ロマンス系を読んでいく上で意識して吸収するように努めたいです。

