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天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第8章 黒いお馬さん


ロイドは濡れた髪をまとめると、意を決して視線の潜む茂みへ近づいた――!


…あっ!

こっちにくるっ!?


「・・・そこで何してるっ?」


「きゃーっ!!」

「――おわ!っ」

甲高い悲鳴にロイドの方が驚きたじろいだ。


…この人声もかっこいぃ!


「……子、共?

なんで、そんなとこに隠れてる?…」



ロイドは女の子が怯えないようにしゃがみ込み目線を合わせた。


「ぁ、あの‥アタシ…」


「ん?‥どうした?

いいよ‥ゆっくりで‥」

ロイドは真っ赤になって今にも泣き出しそうな女の子の頭を、なだめるようにゆっくり撫でて優しく微笑む。





…かハっ!

――た、たまらんっ!


ふらりと急に倒れ掛ける女の子にロイドは咄嗟に手を伸ばした。

「――な!?ちょ、大丈夫か!?」


美青年の微笑に完全KO負けの女の子は興奮し過ぎて鼻血を吹いてしまったのだった。

余りの勢いのよさにロイドも驚き、首にかけていたタオルで女の子の鼻を押さえ込む――!

「じっとして、動くと止まらないから…」

女の子はコクンと頷き心で泣いた・・・

…あぁ‥さよなら、アタシの初恋……

幼い頬を涙が伝う。
そしてロイドの腕に抱かれ静かに目を伏せていた。


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