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天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第2章 変なおじさん
己のことにしか目を向けない者は脆くはかない・・・
あらゆる負の感情に苦しみ・・・負ける
自分がそうだった・・・
自分は死んでもいいから守らなきゃ・・
自らにそう言い聞かせながらやってきた・・・
でも、自分が死んだら?
あの子達は誰が守る?
幼いながら‘死’にしか直面してない・・・
自分がいなくなれば
あの子達は悲しむ・・・
死ねない!…もうたくさんだっ! あの子達の涙を見るのはっ!
だから死なないっ絶対に!
あの子達が、自分の大切な何かを見つけるまでは!
少年は、腰掛けていた噴水からいきなり立ち上がるとルイスの方に向き直った。
「やるしかない!
そう思ってここにきたから──
だから…だから、ありがとう」
少年はルイスをまっすぐ見据える。その瞳には、さっきまでの重くくすんだ影はまったく見当たらなかった…
「ほんと‥ありがとう!
なんだか、何か吹っ切れた!」
少年のアッシュグレーの瞳がどんどん生気を帯びていきいきと輝き始めたのが見て取れるようだった
「――!‥」
ルイスは少年の瞳に目を奪われる‥
なんとなく‥胸が締め付けられた気がした。
色素の薄いグレーの瞳は少しの光の変化で柔らかなグリーンにもみえる。
いきいきと輝き始めたその瞳はまるで、新緑の隙間から射しこむ木漏れ日のように柔らかで…
とても優しかった……。