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天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第16章 白いお馬さん
「はぁー 楽しかったね!」
「おお、そうか!そりゃあ、連れて行った甲斐があるってもんだ」
子供達の笑みに、ザドルも嬉しそうに応える。
時刻は午後の3時を少し回った頃。アル達は街散策を終えて帰って来ていた。
「部屋に帰る前にエバにお土産があるからついでに食堂でお茶入れてもらおうかっ?」
「うん♪」
「おっ、それもいいなぁ」
アルの提案に皆が賛成した。
「あ、アル!先に行って。アタシ、髪飾り無くさないうちに部屋に置いてくる」
ユリアは街を散策する間、髪飾りを無くしはしないかとずっと気掛かりだった。
ロイドとの面会が済んだらすぐ取るつもりでいたのだが「せっかくお洒落したんだから…」アルがそう言って取らせてくれなかったからだ。
「わかった。先に行くから」
でも、そんなに気にしなくてもいいのに……
アルは思っていた…。形見だと言ってもそれよりも大事なものがある。何にも代えがたい思い出というものが。
どんなに大事にしても形ある物はいつかは壊れるのにな……
そう考えながらもユリアの気遣いは嬉しかった。
ユリアは部屋に行くために近道をした。正門から入り広場の裏の庭を突っ切ると宿舎はすぐ目の前にある。
隠れんぼをしながら見つけた道だ。