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天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第50章 忘却の女神

─────



『きゃぁ
どなたかお助けを!』

静かすぎるほどの暗闇に突如、若い女の悲鳴が響き渡る――!


『グハグハ〜お嬢ちゃんもう逃げられねぜぇ!
観念して大人しくすりゃ
直ぐによくなるからよっ』


薄気味悪い笑みを浮かべ、今にも滴り落ちそうなヨダレをすすりながら手下を従えた男が娘に襲いかかったその時っ──


シュッ――ッ!
『ッ―――ぐぁっ!?な、だ、誰だきさま!?』


娘の帯をほどこうと手をかけた男の手には深々と一本の赤いバラが突き刺さっていた!


『フン‥‥‥モテない輩のしそうな事だ‥‥
力づくでか弱い女をその手に抱いて何が楽しい??』

『…っ…なに!?もっぺん言ってみやがれ!!!この野郎!』

男達は目を凝らし声のする方に叫んだが、月の逆光に遮られ相手がどんな奴かも確認出来なかった‥

『多勢に無勢が好みなら‥まずはこの私がお相手しよう‥‥』


暗闇から徐々に近づいてくる凛とした澄んだ声に品の良さが伺われる…
それでいて、妙に威圧感のある姿の見えないその主に男達は恐怖心を覚えた…


『フ‥悪の脅える顔もちょっとした美酒の肴になる‥‥‥今宵は楽しませて貰うぞっ―――』

そういって主は剣を抜い――――‥?


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