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第56章 立冠式

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ルイスの心の奥の箍(たが)が微かに外れたような音がした──



考えて見れば初めて出会って話をした時に、あいつの表情に目を奪われたことがあった‥‥‥



何処かに陰を背負った少年‥

そして話をしているうちに、陰を纏った表情はみるまに輝き出し‥

微笑みかけてきたその表情に俺は息を飲み微かに胸が疼いた‥



あいつの微笑みを見て何度となくﾄﾞｷｯとさせられたことはある‥‥‥


ただ、それは色気とは違って‥


純粋で‥



無垢で‥‥‥


汚れを知らないまっさらな笑顔‥‥‥‥




だから、男女問わず誰もがあいつの笑顔に心惹かれていた…











ルイスはため息をつきながら思いをはせる‥





じゃあ、ロイもレオもアルを女だとわかってて夢中になってるわけか‥‥‥


だったら見守ってやるしかないな‥‥‥‥











男と女の当たり前の恋愛──

そうなら自分が口出すことではないとルイスは考える。

ただ、ルイス自身、自分が探し求めている女性(ひと)がアルだということに‥


いずれ…
自分が見守っているだけでは居られなくなることに‥


まだ気づいていなかった…