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逃げた花嫁と王の執着愛~後宮秘帖~
第3章 紫陽花の夜に
 ソンが女官に向かって歩き出したのを見て、内官長は息を呑んだ。だが、王を止められる人間はこの王宮にはいない。






 女官の足下には落ちて粉々になった水瓶が散らばっていた。どうやら、新米女官が失敗をしたようだ。





 しばらく茫然と散らばった水瓶を眺めていた女官は、諦めたように溜息をつき、散らばった欠片を拾い集め始めた。時々、手のひらでごしごしと眼をこすっているのは泣いているのか。ソンはふと、女官が憐れになった。
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