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逃げた花嫁と王の執着愛~後宮秘帖~
第3章 紫陽花の夜に
「気にするな、失敗は誰にでもあるものだ」



 声をかけると、女官が弾かれたように顔を上げた。しばらく茫然と彼を見ていたかと思うと、彼女はハッと息を呑む。



「国王殿下?」




 赤い王衣を着ているから、正体は丸分かりだ。彼は小さく肩を竦めた。一緒に欠片を拾ってやりつつ、何気なく女官の顔を見る。
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