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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第1章 山本均
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「わっ!」
「わ?」
「わっ……たし」
「わたし?」
再びこくこくと頷き、それから――。
「わたし……あなたのいるコンビニが……そのぉ……」
そこまで言いかけて顔を真っ赤に染めると、頻りに身体をよじっている。
話が一向に進みそうもない。そんな状況を見かねて。
「とにかく一度、落ち着きましょう――ね」
僕はそう言って十分に間を取ると、自分からポーズを取り深呼吸をするように促した。二人は向き合い空気を胸一杯に吸って、ゆっくりと吐き出してゆく。
真夜中の夜道で行うにはやや滑稽なことだけど、それで彼女も少しは落ち着いてくれたようだ。
改めて聞く。
「つまり、当店を気に入ってもらっている、ということですね。いつもご来店、ありがとうございます」
自然に笑顔を浮かべ、そんな風に言った。
「その……笑顔」
「え?」
「ほっとさせてくれる、あなたの笑顔が大好きです」
僕を真っすぐに見据え、彼女はきっぱりと言った。
その時の素顔はとてもかわいらしかったけど、それでいてどこか危ういとも思わせている。胸の中に広がった、今まで感じたことのない想いに戸惑いを覚えながら。
とりあえず僕たちは、出会っていた。
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