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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第4章   岬? 


 深夜の路地を、夢中で走った。

「ねえ。あそこにいるのって〝弘前あやか〟じゃない?」

 あの時、ファミレスで耳にしたカップルの言葉が、頭の中で反芻される。たぶん若いカップルの女の人が発した言葉。怪訝そうに、眉をひそめていたのも憶えている。

 その直後、急速に意識を失いかけた。

 その名を呼ばれたくないから、そのイメージを忘れ去られたいから、今のわたしは一切の昼間の外出を避け、深夜の外出時にも姿をこれでもかと覆い隠してきたはずだ。

 肝に銘じていたのに、均くんの前で浮かれ、すっかり油断をしてしまった。

 均くんは、どこまでしっただろうか。素顔を見てもわからなかったのは、元々彼が〝弘前あやか〟をしらなかったから。だけど、それも当然。元々、大した知名度などありはしない。

 でも、ある一点において、その名は不名誉に轟いてしまう。あのファミレスの彼女もおそらく〝あの男〟か〝あの男がいるグループ〟のファンなのだろう。

 不快そうに歪められた表情が、それを物語っていた。

 偶然、あのグラビアの切り抜きを手にした均くんにしても、〝弘前あやか〟で検索すれば、例の件はおのずとヒットする。

 部屋に帰ると施錠したドアに背中をもたれて、わたしは途方に暮れるのだった。

 自分の知られたくない過去を、均くんにしられてしまった。それが、ほんの表層とはいえ……。

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