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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第4章 岬?
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わたしはかつて、モデル事務所に所属していた。まだ高校生のころだ。当時のわたしは、全てにおいて今とは違っていた。
女子高生というキラキラした立場を自覚し、自分が誰の目にも好ましい存在であると自惚れ、世の中をバランスよく渡って行けるのだと疑うことがなかった。
だからこそ、過去の自分をひたすらに嫌悪するしかない。人に目に触れることを恥じ、女としてのランクを定められることを嫌い、過去の自分をことさらに否定し続けるより他はなかった。
最悪の結果は、全ては自分自身の愚かさが招いたこと、だから。
「もう、終わり……あがいて苦しむだけ、無駄」
意外なほどあっさりと、心はその結論を受け入れようとしているのに――。
「岬ちゃん」
「!」
名を呼ばれ、ドアが静かに叩かれた。控えめなノックの振動をドア越しに受けながら、鎮めたはずの高鳴りが胸の中に蘇ってくる。
だけど、もうそれに身を焦がすことはできないから。わたしには、その資格がない。〝岬〟にだって、あきらめてもらうしかなかった。
「ねえ、岬ちゃん。話をしたいんだ。ドアを開けて」
「駄目です」
「どうして……?」
「もう、ほっといてください」
無下にそうはねつけるのに、均くんは引いてはくれなかった。
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