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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第1章 山本均
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「うーん……」
あれ以来、鏡の前で自分の顔を見ることが増えた。家の洗面所で歯を磨いてる時でも、バイト先のロッカールームで着替えをしてる時でも、鏡に気づくとにっと微笑んでみたりしている。
少し前までなら、考えられないことだ。当然だけど、自分の顔が急にイケメンになったわけではない。きっかけは、あの一言だ。
「あなたの笑顔が大好きです」
脳内で再生された言葉に反応して、鏡の中では様にならないニヤケ野郎が登場する。もちろん、彼女が好きと言ってくれたのは、間違ってもコレではないだろう。
では、どんな顔だろうか。それがしりたくて、僕はまた鏡の中を覗いている。
彼女と顔を合わせたのはコンビニだけのはずだから、そんな特別な表情はしてないだろう。せいぜい営業スマイルがいいとこだけど。
一向に代わり映えしない見飽きた顔に「ふう……」と、ため息が出た。
僕自身、どちらかといったら内向的な性格をしている。爽やかな笑顔を振りまき周囲を明るくするようなタイプとは、対極に位置するといっても過言ではない。
そんな僕の笑顔を、なぜ彼女は好きだと言ってくれたのだろう。そんな風に考えていた時に、スマホがメッセージの着信を報せた。慌てて画面をみる。
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