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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第5章 均
とにかく美里さんを、どうにかしなければならない。
「美里さん……とりあえず、外に出ましょうか」
「う、うん……本当にごめんなさい」
「気にしなくていいですから、では」
そう言いながら、僕はゆっくり美里さんを店外に誘った。とりあえずこれで、防犯カメラを気にする必要はなくなったけど、ここからが問題である。
美里さんの住むマンションはコンビニの近所とは聞いているけど、いくら暇な店とはいえ、もぬけの殻にしておくわけにはいかない。
いや、一応は先輩がいるのだから、起こして店を頼めばいいのだけど、この状態の美里さんを見たら、きっと自分が送って行くと言い出すだろう。
それならそれでいいような気もするけど、さっきの男性客にあれほど怯えた美里さんがそれを快く思わないのではないか。先輩は彼女に気がありそうな感じを匂わせていたし、〝送り狼〟にでもなったらと考えると不安だ。
同じ男でも一切警戒されてなさそうな僕だけど、果たしてそれを喜んでいいのだろうか。腕に寄り添ったまま安心している姿を見ると、逆に男として見られてないんじゃないかと別の不安を覚える。
と、そんなことを考えていると。
「フフ、すごいね」
少し前まで震えていた美里さんが、僕の方を見て怪しく笑う。
「え?」
「さっきから、心臓の音が――ドッ、ドッ、って」
「あ!」