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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第6章 美里晶
「じゃあ、単刀直入に。晶、私とよりを戻さない?」
彼女特有の人を喰ったような、そんな笑みだ。
「だから、冗談ならやめてって――」
「真剣だよ。この上なく」
そう言った希は一瞬だけ真剣な顔を覗かせ、それから窓の外を眺めると話しはじめた。
「高校の時、晶ですっかり癖になっちゃってさぁ。あの後も、ノンケの子ばかりとつき合ってたわけ。でもさぁ、そうなると結局最後は男に持ってかれるってパターンも増えて、今回もそうだったんだけど……ホント、男なんてくたばればいいのに」
そう吐き捨てた瞬間、希の表情に強烈な嫌悪が表れた。
「別に失恋なんて慣れっこのはずなのに、今回はかなり堪えてさぁ。どうやって立ち直ろうかと考えてる内に、晶のことばかり思い出すようになって……。やっぱり晶が最高だったんだなって、そう思ったわけ」
照れくさい気持ちをため息で吐き出し、希に冷めた目を向けて言う。
「あの時、浮気したくせに」
「その前に、晶が別れようって言ったんだよ。あれ、その前にも浮気したっけ?」
希は悪戯っぽく舌を出した。
「やっぱり、してたんじゃん!」
「アハハ! なんだ、しらなかったのか」
元々は親友、その時期を経てはじめての恋人になった。そんな希の笑顔を、私が疎ましく思うだけのはずはない。
「でもね、希。今の私は、均と――」
「似合ってないから」
「そんなこと……少し話しただけで」
「まあ、チャラチャラしただけの男より幾分はまし。だけど、どうせ続かない。私にはわかる」
それは昨夜、私自身が感じていた気持ちに少し似ている。