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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第6章 美里晶
□ □
あくる日の午前。
深夜のバイトに備えて家に帰るという均を見送った後、トーストとコーヒーで遅い朝食を取りながら、ゼミの担当教授の元に顔を出そうかと軽く悩んでいた時だった。
「……!」
メッセージの着信を告げたスマホに、普段ならそんなことはないのだけど、思わず肩をすくめていた。
それが均や大学の友人からである可能性だって高いのに、通知があった瞬間、私はそれが誰からのものであるのかを察知している。
同じであるはずの着信音が、感覚の敏感な部分に障った気がしたのだ。
【マンションの向かいのカフェにいるよ】
そして予想通り、それは希からのもの。
私はすぐに着替え、マンションの部屋を飛び出していった。
「晶! こっちだよ」
大手カフェチェーンの広い店舗の中で、周囲をきょろきょろと見渡す私に、希は悪びれることなく呼びかけていた。
すぐにでも駈けつけて文句を言いたい気持ちを抑え、列に並びショートサイズのコーヒーを買い求めると、ようやく希の元へ。通りが見渡せる窓際カウンターの席だ。
「おはよー」
そんな気軽な挨拶をスルーし、隣のスツールに腰を落ち着けると、とりあえずコーヒーを一口。なるべく、気分を落ち着かせなければならない。
「希、一体どういうつもり?」
「ええ、なにが? 久しぶりに訊ねてきた親友に、随分な言い方だよねー。昨日だって、つれなかったし」
「回りくどい言い方をして、イラつかせるの、やめてくれない。今は二人だけなんだから、意味ないでしょう」
そう言った私を見て、希は笑う。