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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第1章 山本均
その背中を見送り暫く呆然としていた僕は「どうかしたのか?」と聞いてきた先輩を無視し、バックルームに急ぐ。そして自分のロッカーを開け、スマホを取り出した。
岬ちゃんからのメッセージを確認するけど、新たなメッセージは、まだない。
ということは先輩がふざけて送った【エッチなことはいつさせてくれるの?】に対する返事が、さっきの「わたしなら……いつでも」ということに、なる!?
「ま、まさか……」
常連客としては前から見知っていたけど、言葉を交わしたのはつい数日前。そして、おそらく理由があって人を避けるように、引きこもり状態にあるような繊細な心の持ち主だ。
そんな岬ちゃんが、まさか。都合のいい仮定を否定しながらも、この胸の異様なドキドキが止まろうとはしない。
「あっ、えっ?」
突如、手にしていたスマホがメッセージの着信に震える。相手は岬ちゃんで、それからいくつかのメッセージをやり取りした。
〖バイト、何時までですか?〗
【明け方の五時までだけど】
〖私、待ってますから〗
【待つって?】
〖この前の場所にいます〗
その後は僕からのメッセージに、彼女からの返信はなかった。
これは一体、どういう展開……?
頭を真っ白にしたまま、とりあえず残りのバイト時間をやりすごすしかなかった。