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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第1章 山本均
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バイトを終えコンビニを出ると、午前五時を十五分くらい過ぎていた。今朝に限って、早朝の引継ぎに少し手間取ってしまった。
小鳥がさえずる中コンビニのある通りをいつもと違って、駅とは逆方向へ歩いていく。自然と小走りになった。
メッセージで〖この前の場所にいます〗と告げられ、思い当たる場所が他にはない。そのまま五十メートルほど歩いて立ち止まり、細い路地の方を覗き込む。ほんの三日前に彼女を追って、はじめてその素顔を見た場所だ。
「バイト、終わったよ。遅くなっちゃって、ごめんね」
電柱の影にいても、少しだけ見切れている横顔に声をかけるが。
「あの女の人……彼女、ですか?」
たぶん、美里さんのこと。岬ちゃんは、とても単刀直入に、まずそれを聞いた。
「まさか。あの人は、今日はじめてお店に来た人だから、会ったのだってはじめてだよ」
「だけど……手、を」
「て?」
「繋いでましたね。わたしがお店に、入った時……」
岬ちゃんはようやく顔を上げ、僕を見つめた。
その場面を、やっぱり見られてた。だけど、言い訳するのも妙だと感じた。
「手なら、岬ちゃんとも繋いだね。お釣りを渡す時に」
岬ちゃんの方から、握ってきていた。
「あ、あ、あれはっ……」
岬ちゃんは、あわあわと慌てたようにして、両手を顔の前でパタパタとさせた。そんなテンパった姿も、とてもかわいらしいと感じる。
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