この作品は18歳未満閲覧禁止です
![](/image/skin/separater2.gif)
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第8章 あやか
![](/image/mobi/1px_nocolor.gif)
朝、目覚めると。
「おはよう」
浜谷さんが、ベッドに寝るわたしの顔を覗き込んでいた。目を擦りながら、もぞもぞと身体を起こすと、鈍い頭痛が襲った。
「悪いけど、シャワーを浴びたら、すぐに出て行ってほしいんだ」
「え……?」
「さあ、急いで」
促されるまま、シャワーを浴びる。そうしながらも、切れ切れの記憶が上手く繋がってくれない。
それでも〝失っている〟と、わかり。頭から浴びたシャワーの中に、涙を混ぜた。
シャワーを終えて服を着ると、加賀見さんに電話をした。
◇ ◇
ホテルを出ると、わたしに気づき加賀見さんが手を上げた。
「あやか、こっちだ」
ロータリーに停まっていたいたタクシーに、二人で乗り込んだ。
車がホテルの敷地を出たところで、ぽつりと言う。
「電話、しようと思ったんです――昨日」
「ああ、そうか」
「加賀見さんは、しっていたんですか?」
「なにを?」
それ以上、聞こうとすると頭痛が辛くなるので、その日はもうなにも言わなかった。
![](/image/skin/separater2.gif)
![](/image/skin/separater2.gif)