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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第8章  あやか 


 またコーヒーを飲み、どんどん話に引き込まれていると、霞のかかったような視界の中で、浜谷さんの笑顔がきらきらと輝いているように感じられた。

 そんなの当たり前でしょ、この人は本物のスターなのだから……。

「あれ……?」

 なんとなく違和感を覚えはじめた時から、後の記憶が曖昧となる。

「そろそろ、眠くなったかな?」

「はい……加賀見さんに、電話……しなくちゃ」

「大丈夫。僕が電話しておくから」

「ありがとう、ございます……」

 ――それまで、ベッドで休もうか。

 その言葉は、もう耳で聞いたものかさえ、わからなくなっていた。

 部屋の冷房が、やけに利きすぎたと感じた。だけどそれは、わたしが裸になっていたからだった。

 ――これを、飲んでごらん。

 優しくささやかれ、唇を塞がれた。その直後、口の中にどろりとした甘い液体を流し込まれる。反射的に、こくんと飲み下した。

「これ、なに?」

 ――とても、リラックスできるお薬だよ。身体にも塗ってあげるね。

「あっ……」

 ひんやりとしたものを、乳首と股の間に覚えた。

 そしてそこから、わたしの身体は内と外から、びりびりとしびれるような感覚に溺れてゆくのだった。

 意識は、ずっと呆然としていた。だけど、一瞬の張り裂けそうな痛みと、それを飲み込むばかりに襲ってきた渦のような快感を、確かに味わっていた。

 途中からは自ら、相手を求めるていたように、身体を差し出していた。

「ちっ、処女じゃねーか。先に言っとけよ。面倒くせーなぁ……」

 行為が終わった後の、その言葉ははっきりと耳で聞いた。それから夜が明けるまで、わたしは泥のように眠った……。

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