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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第9章 僕
事務所にくる前に、彼女と二人で話していた。
「加賀見にだって、後悔は必ずある。自分のしたことに、苦しんできたはずだ。そんな本心を垣間見ることができれば、岬ちゃんだって自分だけを責める必要なんてなくなると思う」
「でも……」
「たとえ、どれほど加賀見が悔いたとしても、岬ちゃんの気が晴れることにはならないだろう。もちろん、許すことなんてできるわけがない。でも、それをきっかけに生き方を変えることはできると思う。いや、そうするんだ――僕と一緒に」
「……わかりました」
彼女は最後まで、納得した様子はなかった。それは、加賀見のこの本性をわかっていたからなのだろう。
だとしたら、僕のやっていることは、彼女の傷を広げるのと同じこと。無理強いして、こんなところに連れてこられただけで、大きな苦痛を感じているのに、その上こんな風に開き直られてしまうなんて……。
僕が世の中をしらなすぎたせいだ。こんな人間が、本当に存在するなんて信じられない。
だけど、このまま終わらせるわけにはいかない。もしもの時は、最終手段を使ってでも――。
「それにしても、すごい偶然もあったもんだなー」
加賀見は片目だけを開き、僕の方を見た。
「だって、妙だと思うじゃないか? たまたまコンビニで数回会っただけのキミが、たまたま俺と同じタトゥーの入った男を動画でみかけて、わざわざここまで訪ねてくる、なんてさ」
「偶然だから、どうだと言うんです。問題なのは、この動画に映っているのが――いいえ、女の子に暴行をしたのが、あなただという事実です」
「やたら事実を認めさせることにこだわっているようだが、俺から金を巻き上げるのが目的なら、そんなことは二の次だろ。いくら要求するんだ? 具体的な話を進めてくれよ」
「だから、それはそっちの――」
「俺なら、もっと金になる話をしってるが――」
そう言いながら身を起こした加賀見が、隣に座る彼女の方に手を伸ばした。