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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第9章 僕
「?」
僕は不思議に思いながらも、それを拾い上げた。
「やるよ。そこに浜谷陸也についての、ある情報が記されている。イニシャルでHRと書かれたページだ」
「ある情報?」
「ヤツが、一定の目的の時にだけ使う、携帯の番号とマンションの住所」
「一定の目的とは……?」
「ハハ、キミは察しが悪いな。つまり、俺はあやか以外にも、何度かあの男に女をあてがっている――ということ」
「な、なんだって……」
「気持ちはわかるが、そう睨むなよ。どうせ俺にはもう、歯向かう気力もない」
加賀見が肩を落としてそう話した時、それまで僕の後ろに隠れていた岬がはじめて前に出た。
「どうして、そんなものを……わたしに?」
「別に、気まぐれだろ。それを使おうが、捨てようが、どこかに売ろうがそれは自由にしてくれ」
「加賀見……さん」
「だが、忘れちまえるんなら、そうした方が賢明に違いない。さっきも言った通り、浜谷陸也は俺のようにいかないからな……」