この作品は18歳未満閲覧禁止です
![](/image/skin/separater2.gif)
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第9章 僕
![](/image/mobi/1px_nocolor.gif)
◆ ◆
僕と岬は加賀見から渡されたメモ帳を元に、既に浜谷とメッセージで連絡をつけている。そして、この後、岬は〝弘前あやか〟として浜谷と会うことになっていた。
会う約束を取りつけるのは、簡単ではないと思っていた。しかし、最初に送ったメッセージがその数日後に【既読】になった後は、意外なほどスムーズに話は進んだ。
雑誌でスクープされた相手という認識は、当然ながら向こうにもあるはず。なにか罠があるのではと、僕は気が気ではなかったけど……。
「電話をします」
岬がスマホを手にする。彼女の方には、もう迷いはないようだ。
僕はスマホに繋げたイヤホンの片方を装着して、通話内容に耳を傾ける。
「――弘前あやかです」
『やあ、久しぶりー』
「マンションの近くに着きましたが、どうしたらいいですか?」
『今から言う番号を入口で打ち込んで、あと部屋番号も教えるね。えっと――』
告げられたオートロックの暗証番号と部屋番号を記憶。
「それでは五分後に、部屋へ伺います」
『うん。待ってるね』
「では――」
『あ、ちょっと待って』
「?」
『この携帯番号、本当に僕が教えたの? よほど信用のある人でないと、教えないと思うんだよね』
岬と目を合わせる。相手の口調は変わらなかったけど、疑いを口にされたことに緊張を覚えた。
![](/image/skin/separater2.gif)
![](/image/skin/separater2.gif)