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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第1章 山本均
もちろん僕だって男だから、さっきから心臓だってドキドキしっぱなし。顔だって熱くなっているし、別のところだって油断したら反応してしまいそうだ。
手にしているマッサージ器は、普通に肩や背中に使うために持たされたわけじゃないはず。
それでも、このまま彼女を感じさせるには、やっぱり躊躇があって。このままだとなにかを根底から間違いそうな気がしていた。
「均くん……?」
だけど、名前を口にされ見つめられた時に、僕の中で変化の兆候は既にあった。岬ちゃんの潤んだ瞳の中に、はかなげな光を見つけていたから。
確かにこれは奇妙な状況ではあるけれど、でも今の彼女には、もしかして必要なんじゃないだろうか。
もしかしたら僕も同じで、いつもこうして手をこまねいてばかりいるから、これまでも様々なチャンスを逃してきたのかもしれない。
そう、心の底でいつも思っていた――僕は、変わりたいはずだ。
自分でない自分になる。強くそう望む。僕の持っていた内なる変身願望が、急激に目覚めはじめた。そして――
ビビィィ――――!
手にしたマッサージ器のスイッチを入れると、まるで僕の中の衝動も突き動かされるよう。
なにか、よからぬスイッチが入っていた。