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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第1章  山本均 


 岬ちゃんは「全然、色気とかないし……この程度で、すみませんが」と言ってベッドに寝転んだ。その意図は、それ以上の露出はできないということらしいけど、僕にしてみたら十分すぎるくらい。

 想像以上に、すらりとした手足。その白い素肌が、露わとなっている。全体的にスリムだけど、確かな凹凸のあるラインがくっきりと浮かび上がり、それが僕の目の前でなまめかしく身体をよじっている。

 その上、一番の問題なことは――

「ど、どうぞ」

「え?」

「ソレを使って、均くんの気の向くままに……」

「……」

 そんな風に言われたって、僕は言葉を失うしかない。岬ちゃんが「ソレを」と称し、僕が右手に握り締めるのは、ハンディータイプの電動マッサージ器。

 つまり、これでマッサージをすればいいわけ? だけど、それではどう考えても妙だ。

 さっき「感じさせてほしい」と告げられ、僕はそれに応じている形。結局は誤解を正せずに流されたのは、彼女が発するそこはかとない怪しさに抗えなかったから。

 岬ちゃんはベッドの脇にあるバッグから、マッサージ器を取り出すと「使ってください」と、僕に手渡していた。

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