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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第1章  山本均 


 遮光カーテンに一切の光を遮られていても、外は朝陽の差しはじめた平日の早朝のことだ。

「……」

 岬ちゃんは目を閉じて、ベッドの上で仰向けになった。どこか心もとないのか、右手を胸元の辺り、左手を股の辺りに置いている。

 カラオケで使うマイクよりも、一回りくらい大きい。半球状の先っぽを激しく振動させながら、歪な音を鳴らしているマッサージ器は、僕の右手にある。それを、手始めに彼女の首筋の辺りに、そっと近づけた――。

「……ッ!」

 触れるか触れないか、その微かな振動を察して、岬ちゃんはピクンと身体を揺らすと、ぐっと息を呑んだようだ。

 その反応を備に見守りながら、更に先端を首から肩の方へ這わせていった。

「このマッサージ器――岬ちゃん、いつも使ってるの?」

 そんな風に聞くと。

「は、はい……」

 吐息を漏らしながら頷く岬ちゃんは、目は閉じたままだ。

「どうやって、使うの?」

「そ、それは……」

「こんな風に?」

 言いながら、肩から首筋のラインを往復するように、それをゆったりと動かしてゆく。

「そう……です」

 肩口に当てられた振動に、ぴくりぴくりと細かく反応を示すと、岬ちゃんは吐息交じりの艶めかしい声で答えた。

「本当に、そうなのかな?」

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