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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第1章  山本均 


「え……?」
 
 僕は使ったことがないから、マッサージ器の正しい使い方がわからない。なんとなく肩だったり背中だったり、こりやすい場所に当てるのだろうと、その程度の感覚。

 でも、こうして岬ちゃんに使っていると、用途はそれだけじゃないのだろうと思った。

 そもそも岬ちゃんは「感じさせて」ほしくて、僕にコレを手渡したはず。

「他に、してほしいこと――あるんだろ?」

「――!?」

 その時、驚いて僕を見た岬ちゃんと同様に、自分自身が戸惑いを覚えていた。普段とは明らかに違う声が口から出ている。そう自覚した時に、胸の中には熱いものがこみ上げていた。

 もっと、変わってやる――!

 自分の変化を受け入れながら、内なる欲求を徐々に表に出そうとした。

 クス――と自然に、したことのない笑い方をしている。

「岬ちゃんがちゃんと言わないと、僕だって困るんだ」

「た、均くん……?」

「いつも、このマッサージ器を使って――どこを、どんな風にしてるのか――ちゃんと教えてくれよ」

「い、いやぁ……」

 声色と口調が変わり、態度が変わり、おそらく顔つきさえも変わっている。そんな僕の豹変ぶりに驚き、岬ちゃんは逃れるように顔をそむけた。

 その手を掴み取りベッドに腰掛けると、顔を近づけて言った。

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