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蝶々と甘い蜜。
第9章 限界
「また後でね。」
外は薄らと明るくなっていて、肌寒い風が入ってきた。火照った身体を冷ましてくれる風が気持ちがいい。
「じゃあ……」
福田が出て行った玄関の扉が重い鉄でできた扉のようになぜか感じた。この扉はもう開かないんじゃないかって。そんなバカげたことないのに。
鏡を見ると化粧がドロドロに溶けて、ひどい顔をした自分が映っていた。メイク落としで三島につけてもらった口紅もゆっくりと落とす。
「老けたな、私も……」
10年前はシミなどもなかったのに、今ではメイクを落とせばシミがあり、皺も出てきた。
「あと二か月か……」
この部屋の退去手続きはもうしてある。住む場所は決めていないけど……こうでもしないと私はずっとこのままこの家にいることになるんだろう。
携帯にはまた三島の着信が入っていた。私が三島に会いに行こうと考えた時、三島も私に、少しは会いたいと思ってくれたのだろうか。
そばに恋焦がれた奥様が帰って来ていても。そう思ってくれたのであれば……それだけで嬉しく思ってしまう私は、やっぱり最低だ。
外は薄らと明るくなっていて、肌寒い風が入ってきた。火照った身体を冷ましてくれる風が気持ちがいい。
「じゃあ……」
福田が出て行った玄関の扉が重い鉄でできた扉のようになぜか感じた。この扉はもう開かないんじゃないかって。そんなバカげたことないのに。
鏡を見ると化粧がドロドロに溶けて、ひどい顔をした自分が映っていた。メイク落としで三島につけてもらった口紅もゆっくりと落とす。
「老けたな、私も……」
10年前はシミなどもなかったのに、今ではメイクを落とせばシミがあり、皺も出てきた。
「あと二か月か……」
この部屋の退去手続きはもうしてある。住む場所は決めていないけど……こうでもしないと私はずっとこのままこの家にいることになるんだろう。
携帯にはまた三島の着信が入っていた。私が三島に会いに行こうと考えた時、三島も私に、少しは会いたいと思ってくれたのだろうか。
そばに恋焦がれた奥様が帰って来ていても。そう思ってくれたのであれば……それだけで嬉しく思ってしまう私は、やっぱり最低だ。