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蝶々と甘い蜜。
第11章 青いバラ
「結衣……ここにいたのか。」


ブランケットを羽織って
ベッドで寝ている三島を置いて
夜景を見ていた。


「……あの頃見た夜景と全然違う。」


「え?」


20代の私が見ていた夜景は
とっても綺麗だったけど
これだけの数の光が…人がいるはずなのに
私はどうして三島しか愛せないのだろうと
暗い気持ちでみていた。
しかも、隣にはいつも三島はいなくて…
1人でいつもこの夜景を見ていた。


20年経って、やっと三島が横にいる。
長かった…苦しかった…辛かった…
だけど、あの時別れてよかったと今は思う。
私たちは、あの時別れたから
今お互いのことを大事に思いやれるのだと思う。


そして…あの関係をお互いにリセットしたかったから。
自然にこうやって出会いたいと
お互い願っていた……。


「誕生日おめでとう、結衣」


目の前のスカイツリーの電灯が消えた。
そうか…今日は誕生日だった。
20代は辛く、30代は切なく、40代は……
幸せになりたい。


左手の薬指にはめてある
サファイヤのバラの指輪に三島がキスをする。
まるで蝶々みたいだ。


「もう、この手は離さない。」


ずっと……私が蝶々で三島が蜜だと思っていた。
だけど、三島にとっては、三島が蝶々で私が蜜だったのだろう。
お互いがお互いを必要で
引き寄せられる。


どれだけ離れても――
どれだけ時間がかかっても――


たくさんの甘い蜜があっても
あなたという甘い蜜を見つけ
あなたに引き寄せられる。








蝶々と甘い蜜。【完】


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