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ソレは、そっと降り積もる・・・。
第30章 クチナシの薫り
でも、〝倖せ〟。いままでのどんな時間よりも日々よりも現在《イマ》が倖せ。
《 《
「まあまあ・・・綺麗な街並みね~」
「本当だな。まるで中世にタイムスリップしたようだ。月千《ルチ》にも見せてやりたかったなぁ。」
「仕方がないわ、試験期間ですもの。それに私たちは、観光に来たのではないのだし・・・」
「そうだな。珱月を取り戻さなくては。こんな貧乏人に世間も役人も冷たいもんだがこちらさまが呼んでくれたんだ、絶対に珱月を連れ帰るぞ。」
「ええ、もちろんよ。うちの大事な娘を渡しは、しないわ。」
珱月の両親は、ジュリアスと国王の手配により生まれて初めて【ランデルージュ王国】へと足を踏み入れていた。
街並みは、中世ヨーロッパのようで国自体が重要文化財であるとすぐに判るほどの素晴らしさだ。