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ソレは、そっと降り積もる・・・。
第31章 ホオズキをはむ時
「お迎えが遅くなりました。さぁ、あちらに車を用意しておりますのでどうぞ。」
珱月の両親に声を掛けて来たのは、生で見るのが初めてな〝執事〟の姿の青年であった。2人は、戸惑ったのだが貴族社会が未だに残る数少ない国のうちの一つだと知らされていたので頷いて勧められるままに車に乗り込んだ。
美しい街並みを通り過ぎて緑が豊かな庭園の中を車は、進んで行った。
「到着致しました。長旅お疲れさまでした。」
青年がドアを開けてくれる。2人は、戸惑いながらも車を降りた。目の前には、お屋敷があり風情のあるツタが壁に伝っている。
「中へどうぞ。」
執事に先導されながら2人は、屋敷へと足を踏み入れる。
「さぁ、お掛け下さい。すぐに主が参りますので。1度失礼させて頂きます。」
「ああ、はい・・・」
間の抜けな声しか出ない。