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不器用な夫
第8章 当主



「情けない…、国松家の次期当主に対して事もあろうに勃起する失態を晒すとは…。」


清太郎さんが嘆く。

勃起…?

曽我が…?

僕に…?

驚愕する僕を清太郎さんが優しく抱き締める。


「それが国松家の当主になる男の身体だ。僕はイかせ屋として訓練を受け、そのフェロモンに屈しない精神を身につけている。だが未熟な昌ではひとたまりもない。そして君が昌に身体を許せば昌は君の意のままになる傀儡と化す。」


清太郎さんがゆっくりと僕の顔を撫でながら僕に言い聞かせる。


「それが国松家の当主だ。全ての男を意のままに操る事が出来る能力。それがどれだけ危険な能力かを君はもうわかってるはずだね。」


少し切ない目をして僕を見る清太郎さんからは僕に対する哀れみを感じる。

国松家の当主になるべく男は孤独なのだと告げられた瞬間だった。

僕は清太郎さんの言葉に小さく頷く。


「しかし、君はその国松家を守る為に嫡子を残す使命がある。」


もう一度、清太郎さんの言葉に頷く事しか出来ない。


「そして国松家の嫡子を作る為の研究と協力をするのが歴代のイかせ屋の使命でもあるんだ。」

「藤原家が?」

「そう…、君の父上も藤原家の協力を経て君を得たとだけは言っておく。」

「父が?」

「その時の僕は今の昌と同じで未熟者だったから僕の前のイかせ屋が協力した。君の時は僕か昌が君の為に協力する事になるだろう…。」


具体的な事を言わない清太郎さんに色々と質問したい気分になる。

一体、藤原家の…、いや、イかせ屋の協力とは?

僕の疑問には答えず、清太郎さんは質問ばかりを投げかける。


「君は自慰行為の経験は?」


突然の質問にカッと頬が熱くなる。


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