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不器用な夫
第8章 当主
国松家専用…?
意味がわからない。
まず目に入るのはショッキングピンクの絨毯。
そして淡いピンク色の壁。
真ん中には4人が寝れそうな巨大なピンク色のベッドがある。
ベッドの正面の壁には巨大なスクリーンモニターがあり、ベッドサイドの壁の棚には怪しげな道具が陳列されてるという部屋に僕は怯えて清太郎さんの着物の端を掴む。
「大丈夫…、リラックスをして…。」
清太郎さんがまた僕の耳元で囁く。
そう言われても…。
落ち着かない僕を清太郎さんがベッドに座らせる。
「まずは君の好みや性癖、それを知る事から始めようと思う。」
「僕の?」
人様に自分の性癖を晒すとかお断りだと思う。
「嫌だとは思う。だが国松家の当主にはどうしても必要な事なんだ。」
清太郎さんが僕をそっと抱き締める。
「こんな事をせずに済む必要がないかを藤原家ではずっと探り続けてはいるんだ。未だに、その方法が見つからずに僕はまだ若い君に嫌な思いをさせる事しか出来ないとか…。」
苦しげな顔をする清太郎さんに胸が痛くなる。
客に不愉快な思いを絶対にさせない強い意識を持つ藤原家が僕を意図的に不愉快にする事は屈辱だと言わんばかりの表情をする。
「あの…、それが国松家に必要な事なら…。」
清太郎さんの苦しみを見たくないと声をかける。
「君は本当に優しい子だね…。」
清太郎さんが僕の髪を撫でて僕の心を和らげる。
一体、何が起きるのだろう?
国松家の男としてイかせ屋である清太郎さんを信じて自分を預ける事となる。
それは不思議な感覚だった。
2度とは味わう事が出来ない感覚。
僕とイかせ屋の不思議な夜の始まりの扉を僕は知らず知らずのうちに開いていた。