この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
不器用な夫
第10章 キス
清太郎さんがゆっくりと僕の頬にキスをしながら僕から身体を離す。
僕は微睡みの中で清太郎さんを見る。
僅かな愛を感じて僕はオーガニズムに達した。
僕の精液を集めるように清太郎さんが自分の手の中にある僕の精液をプラスチックの小さな細長いケースに収めてる。
「僕はコイツを調べる必要がある。君は少し眠りなさい。残念だが今の君をこの屋敷の中でうろうろさせる事は出来ないから、この部屋に閉じ込める事になるけどね。」
哀しみの目で清太郎さんが僕を見る。
わかってる。
今の僕は清太郎さんに愛されてフェロモンを有り得ないほどに放出してる。
そんな僕が藤原家の中を彷徨えば曽我や清太郎さんが雇う家の者を狂わせてしまう。
「ゆっくりとおやすみ…。」
ベッドに横たわる僕の瞼にキスをして僕の目を閉じさせると清太郎さんは音を立てずにこの部屋から出て行った。
藤原家に存在する国松家専用の部屋。
それは国松家の嫡子を育む為に出来た部屋。
イかせ屋にイかされて女性の体内に精液を吐き出す事が必要な国松家の男。
その全てを理解した僕は泣きたくなる。
この部屋で母は僕を妊娠した。
だから母は京都が嫌いだと言ったのだ。
やっと母の辛さを理解した。
僕と愛し合い、結婚する女性にもその辛さを味合わせる事になる自分の身を呪いながら僕は涙を流す。
清太郎さんが見せてくれた愛は同情だ。
僕がこの呪いに耐えられず国松家の滅びを選んだ時は最後のイかせ屋として僕と共に滅びてくれると清太郎さんは僕に愛を見せたのだ。
1人で苦しむ必要はないのだと見せてくれた清太郎さんの優しさを裏切る事は出来ない。
僕は…。
そんな僕の全てを愛してくれる女性と結婚する事になるのだと、今までは漠然としか感じなかった結婚話をリアルに感じる夜になった。