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不器用な夫
第12章 勃起



ハコが沈んでいく。

文字通り…。

浴槽の中でハコがブクブクと泡を立てて沈む。


「ほら、汚いからやめなさい。」


浴槽の中で沈み続けるハコを子供をあやすように抱っこする。


「ハコ…、やっぱり下手だった?」


泣きそうなハコ。

ハコにとっては、そんなにショックな事だったのかと思うと込み上げる笑いを必死に堪えてやる。

今はハコの神経を逆撫でする訳にはいかない。

そっとハコの頬にキスをする。


「そんな事はなかったよ。とても気持ち良かったからね…。」


嘘だ…。

厳密に言うならば何も感じなかったのだ。

チロチロと小さな赤い舌を使い、上手に僕の肉棒を舐めるハコに興奮はした。

可愛いと感じた。

その舌の使い方にもエロチックを感じた。

何よりも必死なハコが愛おしかった。

多少の興奮で半勃ち程度までは僕の肉棒が膨らむ。

それをハコが小さな口に入れて愛撫する。

なのに肝心の性器が何も感じない。

ざらつくハコの舌の感覚はあるが込み上げる快感は全く感じない。

ただただ必死になるハコを眺めるだけになる。

愛おしさと同時に上手く息が出来ずに苦しげに顔を少し歪めるハコに辛さを感じた。

そして後は萎えるだけだ。

ハコにこんな苦痛を与えたくないと思えば思うほど僕の性器は萎えて勃たなくなる。


「要さん…。」


泣きそうなハコの身体を洗ってやり…。


「ほら、すっかり身体が冷えてるから湯船に浸かりなさい。」


と言ってやるしかなかった。

そこからのハコはひたすら凹むだけだ。


「要さん…。」

「大丈夫…、ハコはちゃんと上手に出来てたよ。ただ僕があんな事をして貰うのが初めてだったから緊張して上手くいかなかっただけなんだ。」


ハコを慰めても気休めだとはわかってる。


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